マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

2019年2月22日 19:00

【2月】勉強会開催

2019年02月22日 19:00

【2月】勉強会を開催した。  

たくさんのご参加、ありがとうございました!

 

「がん由来エクソソームから読み解く:がん種を分ける”バーコード”と転移先を規定する”郵便番号”」

星野 歩子さん (Assistant Professor, Weill Cornell Medicine,Pediatrics Cell & Developmental Biology)

細胞のゴミ処理機構と思われていたものが新たな細胞間コミュニケーションツールとして再認識されたエクソソームはがん細胞を含めた全ての細胞から産生される小胞である。近年、がん細胞の産生するエクソソームが正常細胞へ取り込まれそれを“教育”することでがん進展を促進していることがわかってきた。我々は、がん細胞が産生するエクソソームががん細胞の未来転移先へ分布することを発見し、その分布はエクソソーム上の接着分子が“郵便番号”の様な役割をすることで規定されていることを解明した。さらに、がん細胞由来エクソソームが“郵便番号”を元に未来転移先臓器へ取り込まれることでその臓器を転移しやすい場へと変化させていることを証明した。この機構により120年以上、がん転移の最大の謎とされてきた、何故がんは特定の臓器へ転移するのかを一部解明することができた。また、機械学習により血中内エクソソームに含まれるタンパク質のコンビネーションを“バーコード”として、原発巣の特定ができることを見出した。これにより原発不明がん患者の診断への応用が期待される。