マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

2018年12月15日 16:00

【12月】勉強会開催

2018年12月15日 16:00

【12月】勉強会を開催しまた。  

たくさんのご参加、ありがとうございました!

 

「動物の目医者さんー遺伝子探索から遺伝子治療まで」

宮寺 恵子さん (Assistant Professor of Ophthalmology, School of Veterinary Medicine, University of Pennsylvania)

動物にも、眼の病気を診断そして治療する眼科専門医がいます。犬の眼は私たちヒトのそれにたいへん近い大きさ、つくり、そしてはたらきをもっており、白内障や緑内障などヒトにもみられる眼の病気を患い、目薬や外科手術など、同じように治療されます。

眼の病気のなかでも遺伝性のものは、淘汰選抜の結果、自然界ではまれですが、人気犬種に関連した特殊な繁殖をへて急増し、多くの犬に視力の低下や失明を引き起こすことがあります。そのような病気を診断し、遺伝子変異を見つけ、遺伝子から病気のリスクがわかる検査を開発するのが私の仕事のひとつです。

ヒトゲノム計画からわずか5年遅れで完了した、犬ゲノムの解析。ヒトも犬もほぼ同じ遺伝子をもっており、眼科疾患を引き起こす遺伝子も共通していることが分かってきました。そのため、犬の眼科疾患は、ヒトにみられる同等の病気の原因をさぐり、病態を理解し、治療法を模索する絶好のモデルとなります。そうして開発された治療法のなかに、最近アメリカで認可もされた遺伝子治療があります。

今回は、犬の眼科疾患の診断から遺伝子変異の探索、そして、ヒトへの応用も期待される網膜や角膜への遺伝子治療の最新の成果まで、お話させていただきます。