マンハッタンの片隅の、気さくな学際交流会

2018年1月26日 19:00

【1月】 勉強会開催

2018年01月26日 19:00

【1月】勉強会を開催しました。
たくさんのご参加、ありがとうございました!

 

「糖尿病は治るのか? -クリニカルエビデンスとサイエンスが示してきたこと—」

北本 匠さん (Columbia University, Medical Center)

世界中で患者数増加の一途を辿る糖尿病は、本邦においても戦後、半世紀を待たずに患者数は50倍以上となり、極めて重大な疾患となりました。現在は日本人の8人に1人が糖尿病であると推定されています。

私の元を受診されてきた患者さん達の言葉を伺っていると、糖尿病のイメージは、怠惰な生活が原因で発症し、一度診断を受けたら治らないというもののようでした。こうしたイメージ故か、糖尿病の診断を受けた方はうまく自分の生活を管理できていないなどという誤解を恐れ、周りの人に病気であることを隠している方すらいらっしゃいました。

今回は30分というお時間を頂き、糖尿病に関わる医師として、1) 疾患概念、2) 原因、3) 予防及び治療法の3点にフォーカスを絞り、糖尿病が治る可能性についてお話しさせて頂きます。

臨床試験及び先端の研究から得られた知見を私自身の研究も交え、御専門外の方に向けて御紹介致します。この時間が、皆様の糖尿病という病気に抱く印象へ新たな視点を付け加える機会となりましたら幸いです。

 

「右と左は違う? ゲノム解析が解く大腸癌の不均一性」

向山 順子 (Columbia University, Medical Center)

国際ヒトゲノム計画が終了して15年が経過し、次世代シークエンサーなどを活用したゲノム解析技術は癌研究においても重要なツールの一つとなっています。

大腸癌は長年、複数の遺伝子異常が順に蓄積される多段階発癌過程により形成されるクローナルな細胞集団とされてきました。しかし、近年のゲノム解析などの研究成果により、一つの大腸癌の中にも多数のサブクローンが存在し、それが治療抵抗性に関わることが証明されつつあります。

また、最近では大腸の右側と左側に発生する癌では、化学療法の治療効果や予後が異なる可能性が示唆されており、生物学的背景の解明と最適化治療の確立が望まれています。

今回は、このような大腸癌の腫瘍間・腫瘍内の不均一性についてご紹介するとともに、発表者が研究する右側大腸に多く予後が不良な大腸癌のサブタイプについてもお話していきたいと思います。